戦争と萬葉集
研究会
研究誌『戦争と萬葉集』創刊に当たって
日中戦争・太平洋戦争下、『萬葉集』を中心に、古典文学作品は大日本帝国政府と陸海軍によって戦意高揚のために政治利用された。しかし、それだけではなく、『萬葉集』などの古典文学作品は、戦争下の「国民」の「好戦」的表現の典拠として積極的に享受されると同時に、戦争を運命として受け容れざるをえぬ苦しみと諦めの「厭戦」的心情を託すものとなっていた。
太平洋戦争敗戦後、日本古典文学研究は、戦争下の古典文学作品受容の歴史的な検討を十分に行わぬままに再出発した。敗戦から73年、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)による占領の終結から66年、沖縄復帰から46年を経た今日、戦争を直接体験した人々が少なくなり、戦争下の貴重な資料も未調査のまま散逸しつつある。しかも、2010年代に入り、経済的には自国優先主義が、政治的感情としてはナショナリズムが世界的に高まり、人々の間で過去の戦争を理性的に捉える目が失われつつある。
戦争下における『萬葉集』を中心とする古典文学作品受容の全体像をあくまでも学問的立場から明らかにし、戦争と文学がいかなる関係にあるかを究明することが、専攻分野を超えて日本文学研究者に今まさに求められている。本誌はその責務を果たすべく創刊された。 (2018年12月19日発行創刊号)
戦争と萬葉集研究会の
研究活動について
戦争と萬葉集研究会は、小松靖彦(青山学院大学。日本上代文学・書物学・文学交流)を編集人として、日本文学・国語教育・日本語教育など分野を超えた研究者による研究発表、読書会を開催しています。読書会では、年間テーマに沿って〈戦争と萬葉集〉の研究の基礎となる本を読んでいます。その他、文学者・ジャーナリスト・関連分野の研究者などを講師とするレクチャーも1、2回開催しています。
研究誌『戦争と萬葉集』を年1回刊行し、その研究成果を広く公開しています。
(*研究会・読書会・レクチャーは、一般公開を行っていません)
【ご報告と御礼】
戦争と萬葉集研究会は、研究誌『戦争と萬葉集』第5号の刊行をもって、研究会活動を終了しました。研究会創設時より、5年間限定の研究会活動を考えていました。新型コロウイルス感染症拡大により、研究会活動は6年半に及びましたが、当初の予定通り、終了としました。今日の研究状況に対して、新たな研究の道筋を示すことができたと思っております。研究会に集い、また『戦争と萬葉集』をお読みくださった多くの方々に、心より御礼申し上げます。
(*なお、終了の事情については、『戦争と萬葉集』第5号の「戦争と萬葉集研究会活動報告」、そして今後についての思いは、同号「編集後記」に記しました)
戦争と萬葉集研究会
〒150-8366 東京都渋谷区渋谷4-4-25
青山学院大学文学部日本文学科 小松靖彦研究室内
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第4号 在庫あり
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